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Isis in Paris : A Modern Day Interpretation of the Myths of Isis

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 イシスとオシリスの神話は古代エジプトに由来しますが、そのストーリーは現代に生きる私たちにたくさんのことを教えてくれています。ここではイシス神話が現代においていかに重要なメッセージを持っているのかを探ってみましょう。

 

 女王イシスはエジプトの女神で「千の名を持つ女」とも呼ばれています。神話にはイシスの夫であり兄であるオシリスが登場します。オシリスは弟セトの怨みを買い、殺されてその遺体はバラバラに解体されました。もしかすると、現代社会の“機能不全を起こしている家族パターン”ということに気付かれた方もいるのかもしれませんが、このことは後ほど触れることにします。

 

 イシスは亡くなった夫オシリスを2回ほど甦らせました。2度目に生き返らせたのは、セトがオシリスの遺体を14の部分に分けてどこかに隠した後のことでした。イシスはナイル川を下り、バラバラにされたオシリスの身体のひとつひとつを捜さなければならなりませんでした。

 

 イシスにはこの大掛りな仕事を成し遂げるためのパワフルな道具があります。神秘の舟に魔法の月の鏡、腰には赤い飾りのついたベルト、そしてエジプト十字架、頭には第三の目の位置にヘビの飾りのついた金の冠です。色とりどりのヴェールで作られた華麗なドレスを身にまとっています。

 

 イシスはスピリチュアルな道具を使い、妹ネフティスの助けを借りながら、オシリスの身体を元通りにしようと試みます。ネフティスは黄泉の国の闇の女神で、死のプロセスにおいて魂の道案内をする力を備えています。ところがイシスは隠された14のパーツのうち13しか見つけることができませんでした。ちなみに、13という数字は女性の1年間当たりの月経回数と同じです。そして、イシスは月の女神と呼ばれています。

 

 二人の姉妹は力を合わせてオシリスを癒し、元通り完全な姿かたちにすることに成功します。イシスは甦った夫オシリスと再び愛を交わし、その結果神聖な子、ホルスを授かります。ホルスは二人の息子であると同時に私たちの太陽神でもあるのです。

 

 イシスの神話はさまざまなレベルにおいて象徴的な意味合いを持っています。スピリチュアルな意味でのイシスの旅の目的は夫オシリスと再び一つになることです。スピリチュアルな道を歩み始めると私たちは次第に内なる男性性と女性性の統合へと導かれてゆくのです。エジプト十字架は上部に環がついた十字架で、環は女性のシンボル、十字は男性のシンボル、つまり男性性と女性性の統合を象徴しています。

 

 イシスは深い悲しみの中で、失われたオシリスの身体のひとつひとつを捜し求めました。私たちのスピリチュアルな旅路は人生における悲劇、英語の「crisis=クライシス」、つまり「cryisis=イシスの嘆き」が出発点になることが多いのです。もしあなたが何らかの失望や苦しみの中にあるとするなばら、それはスピリチュアルな旅路の最初の一歩を踏み出す準備が出来たと言うことを示しています。

 

 イシスの赤い飾りのついたベルトは母方の家族の集合の象徴です。私たちが心に傷を負った経験のうち、その多くは幼少時代のものです。それは私たちが先祖から受け継いだ不健全な家族の機能パターンが原因になっているからです。セトは家族の中の破壊的な要素でした。イシスの役目は、弟セトの持つ家族をバラバラにするというカルマの条件のもとで、亀裂の入った家族関係を修復し、元通りの完全な形にすることでした。私たちもまた先祖から受け継いだ破壊的な家族のパターンを浄化し、失われたパーツを取り戻さなくてはならないのです。

 

 イシスは神々の母です。イシスのヴェールは物質の次元を象徴します。物質の次元には物理的な形というものが存在します。イシスは13の月の女神です。月のサイクルは人生がどれほど物理的な形を帯びているかを私たちに教えてくれます。人生には新月に象徴されるような始まりがあります。また、人生には満月に表わされるような全盛期というものがあります。人生にはまた欠けていく月のように衰退期もあるのです。

 

 イシスは魔法の月の鏡を使って人生のこれら3つの側面に力を及ぼすことができます。月の鏡はまた、私たちひとりひとりの内にある光と人生のあらゆる面にある光を映し出すことができる鏡でもあるのです。この鏡のおかげで、イシスは万物が常に変化しているということを知っています。イシスの旅は自分の真のエッセンスを捜し求めるスピリチュアルな旅です。イシスにとっての真のエッセンスとは、万物に秘められている輝きを象徴する兄オシリスです。イシスにとってオシリスを元通りの形に甦らせることの重要性はここにあるのです。

 

 イシスの舟は偉大なナイル川を下ってゆきました。舟は失われたオシリスの身体の一部一部を見つけに行くための乗り物です。それと同じように、私たちの身体は私たちが人生において真の自己を見出すという旅のために与えられた乗り物なのです。私たちの身体という乗り物は、月の3つの相と、この束の間の物質界という2つの条件のもとにあります。また、私たちの身体はまた両親・先祖から受け継いだ遺伝的要素にも左右されます。イシスの舟はナイル川を下ります。ナイル川はクンダリーニの通り道を象徴します。イシスは黄金の蛇の冠を持つ蛇の女王でもあるのです。クンダリーニとは私たちの背骨の根元部分に眠る蛇のことです。この蛇は一旦目覚めると7つのチャクラの秘密を明かしながらこの通路を上昇してゆきます。

 

 イシスが愛する人の失われたパーツを探し出したように、私たちもまた自分の失われた部分を探し出す必要があるのです。イシスは神々の母であり、この世の全てを具現化する存在でもあります。オシリスは永遠の命を持った救世主の光です。オシリスは私たち一人一人、そして万物にあるきらめきです。イシスはオシリスを甦らせます。愛し合うイシスとオシリスのこの神話は物質界と永遠の生命の世界の婚礼の物語なのです。イシスとオシリス、そして肉体と永遠の命、結婚とはパートナーのどちらかでも欠けてしまっては成立しないものなのです。

 

 イエスとマグダラのマリアのストーリーの原形は、 実はイシスとオシリスの神話です。ご存知のようにイエスは赤ん坊の時代に父母とともにエジプトへ避難しました。イエスはエジプトの神秘に触れ、またイシスについてもよく知っていました。その上、女神イシスはローマ帝国で広く崇拝されていた女神の1人ででしたので、古代のヨーロッパにもその信仰が根づいていました。ヨーロッパで見られるブラック・マドンナの多くは実は聖母マリアの姿をしたイシスなのです。教会の多くはイシスを奉っていた神殿の跡地に建てられました。マリアとその子イエスの像もまた、実はイシスとその子ホルスを描いた古い肖像画をもとに作られています。

 

 すでにお話したように、神々の母イシスは愛するオシリスを生き返らせたあとオシリスと愛を交わしました。しかし、その前に問題が一つだけ残されていたました。オシリスの身体は14に分けられましたが、イシスが見つけることができたのは13です。見つからなかった最後のピースはオシリスのペニスでした。オシリスのペニスはナイル川の魚に食べられてしまったので見つけることは不可能だったのです。しかし、賢い女神イシスはオシリスのためにラピス・ラズリで新しいペニスをつくります。そして、二人の愛の結晶として息子ホルスが授けられたのです。

 

 なぜなくなったのがペニスなのか、ということについては少し説明が必要かもしれません。これは実は“うお座”の時代の前兆を意味しているのです。うお座は“魚”のシンボル、つまり“キリストの時代”を意味しています。ペニスを飲み込む魚はキリスト教信仰を象徴しています。キリスト教の経典は書き改められ、セックスは罪深いこととされ、性は聖性から切り離されました。そしてキリストは未婚で妻もない救世主ということにされてしまったのです。

 

 イシスは神聖な性、タントラの女王です。イシスとオシリスが結ばれたことによって息子のホルスが生まれます。性としての自分を取り戻し、それを霊的な生活に統合することができれば、セックスは神聖なものとなるのです。

 

 ホルスの誕生には自己の内なる子供を取り戻すという意味もあります。人間であるがゆえに私たちが負っている傷を癒し、それを別の形に作り変えることができれば永遠の自己が誕生します。父・母・子は私たちの内で一つに結ばれています。イシスの物語は私たち一人一人の物語でもあります。感情的にもしくは精神的に傷ついて人生の危機を迎える時というのは、自分の失われたパーツを取り戻し、再び元の完全な姿に戻り、精神的な道を歩んでいく準備が整ったという知らせなのです。

 

 真の精神的覚醒を体験すると、自分を取り巻くすべての人々との関連性を映し出す鏡があることに気付きます。他人の意見に左右されず常に自分でいることを知り、自分の感情と思考のプロセスを組み立て直し始めるのです。

 

 イシスの神秘の道具の一つに鏡があります。イシスの神秘の鏡を覗けばあらゆる分裂は消え去り、人生のいかなる状況にあっても自分自身をはっきりと見つめることができるのです。

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