インヴォケーション(Invocation)とは、私たちの身体に神や女神、天使といった神聖な存在を招き入れることです。“インヴォケーション”と“祈り”には明確な違いがあります。祈りは私たちの身体の外に向かって行われるものです。その反対に、インヴォケーションは私たちの中に神聖な存在のためのスペースを作りだすものです。そのため、どちらかを選ぶのではなく、この2つは吐く息と吸う息の呼吸のような自然な組み合わせなのです。
インヴォケーションは、私たちが神聖な存在そのものになることを目的としていないという点は非常に重要です。なぜなら、神と自分を同一視するプロセスにエゴが固執してしまうと、それはインヴォケーションの本来のあり方からかけ離れたものになってしまうのです。神聖な存在とは、神が具体的な形をとったものです。神とは形を超えた存在であり、形として認識することのできないものだからです。ステンドグラスを通る太陽の光が輝きを放つのと同じように、聖なる存在たちは神の光をこの世に照らす役目をもっているのです。
インヴォケーションでは仏陀や悟りに達した聖人、そして大天使などの名を使います。完全な悟りに達していないガイドや精霊たちの存在を決して呼び出さないようにします。そのような存在を使ってインヴォケーションを行うことは、自分を自分の望んでいない影響力にさらしてしまうことになります。仏陀や聖人達にはそれぞれに得意分野があるので、どういったことが自分に必要であるか、その状況によって使い分けてインヴォケーションを行います。例えば、ヒーリングが必要ならば薬師如来やヒーリングの大天使ラファエルの力を借ります。守護が必要ならば大天使ミカエルや戦いの仏陀の力を借ります。
仏教では伝統的に「ブッダ」と呼ばれるのは男性だけです。悟りを開いた女性たちのことは「菩薩」という名で呼んでいます。この違いを知らなかった私はインヴォケーションの時にいつも「女性のブッダ」を呼んでいました。それでも「女性のブッダ」はいつも姿を現してくれました。ここにご紹介するのはインヴォケーションで使うシンプルな定型文です。使い易く、様々な状況で使うことができるものです。皆さんも実際にお使いになってその使い易さと用途の広さを実感なさってください。願いを叶えるには毎日声に出してインヴォケーションを行う必要があります。
私はここに(仏陀、大天使、聖人などの名)の存在と力を呼びます。
このように唱えてあなたが今必要とする存在を呼び出します。
私は(あなたが呼び出した存在)に私の体と心、そして魂をゆだねます。
このように唱えて神聖な存在を完全にあなたの体の中に招き入れます。神聖な存在を完全に招き入れるにはその存在に対して心を開くことが大切です。そしてその存在があなたの体、心、魂と一体化することにあなたが同意していることをはっきり示すことも大切です。
神聖な存在をはっきりとした口調で招いたら、その存在の得意分野に応じてあなたの願いを唱えます。願い事をする時に大切なことは、心を込めて、自分の言葉で言うことです。